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立ち上がる若者達


ある日、突然6人のチベット青年が、アムチを尋ねてきました。
「伝統的なチベットのお香の製法を、教えて欲しい。」
との申し出でした。


みんな一度は、TCV(チベット子ども村)に在籍したチベット難民ですが
彼らのこれまでの経歴は様々です。
ある青年は、TCVを最終学年まで卒業したエリートで
流暢な英語を話します。
あるものは、TCVを成績不良で除籍され
最後まで勉強を続けることが出来なかったと言います。
ただ彼ら6人に共通しているのは、
「自分達の手で、自分の未来を切り開きたい。」という
熱い思いにあふれていることでした。

学歴のないものには仕事はなく
学歴のあるものは、その学歴ゆえに
仕事をより好みし働かない…
それがネパールの若いチベット難民の現実です。

境遇の不幸さや生活苦を、全て他へ責任転嫁し
現実と向き合わないチベット人の若者の多さに
「スキルを磨いて、自分自身で人生を変える転機にして欲しい。」
そう思って設立したのが、TCPのトレーニングセンターでした。

しかし、やる気を持続し続けることが出来る若者が
そんなに多くはないということも
悲しいけれど、私達の前に差し出された現実でした。


そんなところへ
6人の若者はキラキラした目でやってきて
アムチに指導者になってくれるように懇願するのです。

昨今の心根の悪しき若者達に、心底怒っていたアムチは
驚き、感激し、惜しげない協力を申し出ました。


それから丸5日にわたり、アムチの講義は終日続きました。
材料の選び方から、お香の製造過程、
アムチとしての経験から得た細かな知識まで
あらん限りの知恵を、この若者達に教え込みました。


今、若者は、自分達でお香の製作を始めています。
お香プロジェクト3

ブロック積みの壁に、トタンの屋根、照明も電気もない小さな場所ですが
彼らは自分達の手で、何もかもをまかない
真剣にお香作りに取り組んでいます。

お香プロジェクト2

アムチも足しげく通い、
その様子を見守り、指導しています。


お香のチェックをするアムチ。
お香プロジェクト1

乾いた風が吹き始めるこの時期から2月までが
お香の製造のベストシーズンです。


若者達の熱い思いの上に、
薬師如来様のご加護がありますように。




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