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建物の被災度調査


昨日のブログで、TCPの建物に関しては
居住可能と判断したと書きましたが
もう少し詳しく、写真を交えて
状況をご報告させて頂きます。

5月17日に初めて、ネット環境が整い
ネパールの加藤とFacetimeで話しをし
建物のクラックを画像で見せてもらいました。

その際に、一番懸念していたのがこの部分。
1階の階段の上り口の上です。
DSCN7204_20150527235718555.jpg
真横にクラックが入っていて
もしかしてコンクリートが剥離して落ちるのでは?
と心配したのですが、この部分、
何とボードで出来ていました!
コンクリートと、ボードの取合い部分が
地震でクラックが入っただけだったのです。

日本にいる段階で、クンデ・ハウスの仕上げが
建築的にどのようになっているかは、完全には把握しきれていないので
実際の建物を見るまで、正しい状況が判断できませんでした。
確認できて、一安心です。

こちらは、アチャ・イシの部屋の壁です。
細いクラックが入っています。
DSCN7192.jpg

打音検査で、中の状況をチェック。
DSCN7194_2015052723552309e.jpg
問題は無かったです。

DSCN7185.jpg
テラスの手すりの飾りにもひびが入っていますが
重さを支えていないので、問題ないです。
余震で完全に割れた場合、破片の落下に気を付けなければなりませんが
避難経路ではないので特に問題としていません。

以上、様々な部分を調査した結果
クンデ・ハウスは、一部の壁に微細なクラックが生じたものの、
そのまま居住することが可能であると判断いたしました。

ただし、3点ほど、今後に備えて具体的な施策を行います。
一つ目は、駐車場のレンガ積みの塀。
DSCN7326.jpg
既に亀裂が入っており、今後の強い余震によって
倒れる可能性があります。
少なくとも駐車場側に倒れ込まないように、
補強をすることにしました。
DSCN7330.jpg

2つ目は、リビングのシャンデリアがつるしてあった天井の
飾りモールドの部分。
DSCN7206.jpg

剥離が見られます。
DSCN7214.jpg
落ちてくると危険なので、天井に近い位置に
ネットを張る事にしました。

3つ目は、らせん階段の最上階の天井の
こちらも飾りのモールド部分。
やはり剥離が心配されます。
こちらは1階の部分を、物置スペースにすることによって
子ども達が、入れないようにしました。


チベット予防医学室のクリニックは、
階段室の損傷がひどく、建物に入るのが危険に思われるとの報告でしたが、
実際に、壁のクラックは大きく見えるものの
表面のモルタルや隣の建物との境の部分に発生していて、
柱や梁の構造体には影響がないため
今後、使用する分には問題ないと判断しました。
DSCN7239.jpg

一番最初に地震が来たと聞いた時
その大きさから石川は
「これは完全に、ファサードのガラスが落ちたな…」と思いました。
写真のオレンジで囲われた部分です。
DSCN7254.jpg
でも、こちらも無被害でした。

DSCN7246.jpg
建物に使用されているモルタルは
もともと水分が少なかった特徴が、破片を見ると分かります。
つまりそれは割れやすいという事です。
このため、クラックが大きく見えていたようです。


子ども達の通うバヌバクタ学校につきましては
幼稚園などの低学年の校舎が一部損壊、
短大が倒壊したとの噂が回って来ていましたが
かなり事実とは異なっており、
短大の寄宿舎の1階部分に損傷が見られました。

子ども達の学年が使用する校舎は
寄宿舎からは離れており、また、校舎に損傷はなく、良好な状態でした。
DSCN7528.jpg
教室内も、クラックなし。

階段室も、非常にきれいな状態です。
DSCN7533.jpg

水飲み場の塀など、建築的に弱いと思われる部分にも
被害はありませんでした。
DSCN7538.jpg

DSCN7545.jpg
学校が再開されても、安心して通うことが出来ます。


カトマンズ武道館は、2階の立上がりのレンガの壁が崩落しています。
武道館
三角形の空間が開いている部分です。
DSCN7511.jpg

天井の4隅が破損していました。
DSCN7514.jpg

床の一部分が盛り上がって割れている箇所もありましたが、
構造体には大きなダメージがなく、補修すれば使用可能と判断できます。
DSCN7512.jpg

ただし、崩落した壁から入る雨水が、天井や床を濡らしてしまうため
雨季に入る前に補修することが望ましいと思いました。
現実的には、補修に数百万円程度の資金が必要と思われますので
応急処置として、一刻も早く、雨水が入らないようにシートで覆うことが必要です。

もともとこれは、外務省の「草の根文化無償資金協力」によって
建てられたものです。
現在もネパールは、この資金協力の対象国になっており
今後、少し落ち着きましたら、補修費用などの申請も可能なのかどうか
探りたいと思います。

以上が、TCPと子ども達の生活圏の建物被災度調査結果です。
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