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アムチの見た悪夢


相変わらず、ひどい停電のネパール。

特にクンデ・ハウスのあるラニバン地区は、
ここ最近になって急激に宅地開発が行われた地区で
もともとインフラの整備が、整っておらず
地区への送電量が低く定められているのだそう。

だから他の地区よりも余計に
電気の争奪戦が激しくて
電気が来ても、最初の10分ほどで
送電のポイントが容量オーバーして発火し
その後、何日も電気が無い状態を繰り返しています。

そんな訳で、なかなか日本とネパールで
スムーズにやり取りが出来ない状態が続いています。

この様な状況にもかかわらず
今日はどうしても連絡したいことがあると
加藤がわざわざ街まで出て
ネットカフェから、電気のある時間を見計らって
Facetimeで日本の石川に電話を掛けて来ました。

その内容と言うのが…

もしかすると、文明的な社会に生きている人にとっては
本当に眉唾な話かと思うのですが
これはチベット人としては大真面目な話題なので
ブログをお読みの皆様に、どのように受け止められるのかと不安に思いつつも
チベット文化の一端をご紹介するつもりで、
勇気を持って書きます。

加藤が緊急に街まで出て
電話をしてきたその要件とは…

それは今朝早く、アムチが真っ青な顔で
クンデ・ハウスに駆け込んで来た事から始まります。
「不吉な夢を見た。飛び切り不吉な夢だ。何か不吉な事が起こるに違いない!」
と言うのです。

アムチの見た夢は、こんな内容だったそうです。
「TCPの全員が、地震で村が壊滅状態になった場所にいます。
 村の破壊度は本当にひどくて、建物は一つも残っていないばかりか
 そこに村があった事さえ、想像できないほどの惨状です。
 私達は、全員がひどく飢えています。
 あまりのひどい状況に、子ども達のうちの一人が、発狂してしまっています。
 そこへジャッカルが現れ、私達に生肉を施してくれます。
 飢えている私達は空腹に耐えかねて、その肉を食べるのです。」

ジャッカルが食べ物を持って来てくれるなんて
ちょっといい話?と思われるかもしれませんが
これはチベット的には、とても不吉な夢なのです。

『チベット死者の書』の中に、
「死の兆候を現す夢判断」というものがあります。
死が目前にある事を知らせる様々な夢の例が、
具体的に書かれています。

その中に、ジャッカル、サル、豚などの畜生が
生肉を持ってやって来るのは、とても不吉だと書かれています。
そして何と今回は、それらを私達が食べている夢なのです!
チベット仏教的には、こんなに不吉なことはありません。

実はアムチの悪夢は、これまでも現実化してきました。
それは一緒に過ごしてきたスタッフが、何度か経験してきています。
常に現実が、アムチの悪夢と同じように進行しました。
そして恐ろしい事に、そこにはあまりタイムラグが無いのです。

「アムチの夢、どう思う?お寺に頼んで、プジャ(祈祷)してもらった方がいいよね?」
と言うのが、加藤の緊急連絡の用件だったのです。

実は東京事務所の石川も
アムチの悪夢が現実になる場面に、居合わせたことがあります。
それは冷たい汗が、背中をどっと流れるような恐ろしさでした。
この時は、アムチが悪夢で目を覚まして数時間で、その予言が現実化しました。
何千キロも離れた場所で、その日に起こる事を
アムチは「不吉な夢」と言う形で、先に見ていたのです。

アムチはアムチになる履修の過程で
たくさんの仏教的な修行もしています。
いわゆる霊的な感覚も研ぎ澄まされていて
だからこそ、エネルギー的な霊体を含めた身体の
的確な診察が出来るのです。

これまでの経験から、アムチの悪夢を笑い飛ばすなんて事は
加藤にも石川にも、到底できない事です。

これだけならまだしも、
この後、起きてきたアチャ・イシ、タシ、チュインが
「昨日の夜、大きな地震の夢を見た」と言うのです!
果ては、エリ先生までが「実は昨日の夜、地震の夢を見て…」と話し
もうこれは、何か特別なことに違いないと確信するに至ったのです。

すぐにTCP代表の所に連絡して、「モ」を立ててもらい
プジャの相談をすることにしました。
「モ」はいわゆるチベットの伝統的な占術で
これによって、この悪夢を封じ込めるのに必要なプジャを選定します。

…こんなことを真剣にやってるのを
皆さんがどのように受け止められるのか
すこし不安に思うのですが、
こういう世界に生きているのが(伝統的な)チベット人なのです。

これまでもこのような価値観を、TCPは大事にしてきました。
(過去にはこんなことも→2012年12月5日ブログ「プジャ」
「肉体が生きている、合理的で目に見える世界」とは違う世界がある事を
子ども達にも、事ある毎に教えてきました。
この様な価値観の形成無くして、
チベットの伝統を受け継いだ人材とは言えないと思うからです。

モをたててもらった結果の続編、
また後日、プジャが行われましたら、
改めてお伝えします。
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