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ダワの近況


2008年冬からTCPに入居した最年長のダワは、2019年春はベット人コロ
ニーに住む親戚に強引に連れて行かれた事件が起こりました。
あまりにも理不尽な事件に里親さんやスタッフも驚きとショックで戸惑い、
ダワからの連絡が入るまでは心の置き所がなく心配でした。
幸いにもダワに危惧していたようなことは起こらず、地元の学校で10年生
まで就学させて貰い、今春よりカトマンズ郊外にある病院に併設さえれてい
る看護専門カレッジに入学し、介護士を目指して勉強中。
そんなダワと数年ぶりの再会を果たしたのはつい先月、
老人ホームで無料診療の助っ人に来てくれました。
すっかり大人に成長したダワの姿を見て、しっかり自立して頑張っている
様子が伺えました。

そしてダワから予期せぬこんな言葉が、「TCPにいる時には皆に散々迷惑
をかけました。小さい頃から大切に育てて貰ったのに、本当に酷いことばか
りしてごめんなさい」「これからは自分が出来ることでTCPに恩返しがしたい」 
と涙ながらに話してくれました。
TCPが一番大切にしている理念は「慈しみと思いやりの心」、確かにダワが
その精神を受け継いでくれていたと確信した瞬間でした。



TCPへ入居する子供たちの背景は様々で、入居まで言葉に出来ない辛い
経験をしてきている子も多くいます。
私たちはそんな子供の家族関係や生活環境など情報を殆ど得ることなく
子供をお預かりし、平等に公平に愛情を持って育てているつもりですが、
それは決して容易なことではありません。
特に思春期を迎える時期からは当人の人格形成に必要な情報(生まれ育
った環境・家族・自分がTCPにいる理由等)不足から情緒不安定になったり、
アイデンティティーを求めTCP(養護施設)を出たいと考えたり、
理由もなく怒りが抑えられなかったり、それも十人十色。
同じようにダワも思春期の頃はいろいろと問題を起こすこともありましたが、
結果TCPで経験し学び得たことはしっかりと今のダワの座標軸になってい
ました。

ネパールはカオスの国、考えられない理不尽なことの連続が日常にありま
す。TCPの歴史を振り返れば12年前には亡くなった父親を弔うため入居し
2年目のドルジェをチベットの僧院へ連れ去ったり、
10年前は孤児として入居した3年目プルサンモの母親が急に現れて強引に
連れ去ったり、4年前にはダワの親戚が介入し同じように連れ去ったり。
勝手に連れ去り事件はどこのNGOでも同じ問題を抱え、回避するための
作成をいくら攻略しても結局は役に立たないのが現状だそうです。
TCPの教育係の尼さんもその様な現実をたくさん目撃されているので
私たちにいつもこう助言してくれます。
「預かった子供自身のカルマ(因縁)によって今一時私達はTCPに集まり、
そして果が熟したらいつかは離れていくもの、たとえ短い期間でもここで
学んだことは彼らの糧になるはずだから心配することはない、私たちは
善い種を蒔いたのよ、それに縁があればきっとまたどこかで再会できる」と。
現実的に運営する者としてそう簡単には受け止められなかったのですが、
時が経つにつれて少しずつ理解できるようになってきています。

dawawa.jpg

運営から14年、様々なことがありましたが里親さんを始めTCPを支えて
下さる皆さまのお陰様でダワはこんなに立派に成長しました。
この感動と喜びを里親さんや皆さまと分かち合えることはとても感慨深く、
そして感謝の気持ちでいっぱいです。

これからもTCPの子供たちの成長を温かく見守って下さいますように
宜しくお願い致します。
ーかとうより
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