西チベットの旅


チベット本土を旅行された方の数は、そんなに少なくもないと思うのですが
そのうち、西チベットを旅された方は、やはり少ないのではないでしょうか。

だって、こんなところです。
P1010172.jpg

行っても行っても、毎日こんな景色です。
P1010002.jpg

公共交通機関がないので、
移動はあらかじめ、ラサなどの大都市で数週間の予定で
ランドクルーザーをチャーターするか
あるいは、運任せのヒッチハイクです。

ヒッチハイクはかなり辛いです。
道なき西チベット高原を走る車は、1日に1~4台ぐらい。
目的地が違ったり、どの車とも交渉が決裂したりすると
翌日まで待つしかありません。

そう、こんなところで、また1日過ごすんです。
P1010285.jpg

ちょっと、泣けます。



それにヒッチハイクは、実は命がけなんです。
なぜかと言うと、何キロ先からでも、異臭を嗅ぎ付けて
チベット犬がやってくるからです。

チベット犬は、家畜を守るために飼育されており
「家族以外の動くもの」には、全て襲い掛かり、倒すように
生まれたときからしつけられるのです。

チベット犬は、大体3匹以上の群れで行動します。
土佐犬とまではいかないまでも、足の太い体躯のいい犬です。

実は石川は、このチベット犬に襲われました(涙)。
3匹のチベット犬に囲まれ、退路を絶たれ
そのうちの1匹に左手の手首を
もう1匹にお尻を噛まれてしまいました(大涙)。

チベット犬の目的は、「相手を倒す。」ことですから
噛み付いたら、標的が倒れるまで離れません。


手首とお尻に喰らいついたまま、暴れまわる犬に翻弄されながら
案外冷静に
「今日ここで、人生ゲームオーバーか。」と思いました。

「もうそういうカルマやったらしゃーない。ここで死んでも異議はあらへん。  
 せやけど、これまで生きてきた恩恵を、まだ何にも社会に返してへん。
それだけが心残りやわ。」
と思いました。
(普段は共通語のイントネーションで話していても 、究極の時、関西人は関西弁に戻ります。)


数分の格闘ののち、数百メートル先にたまたまいたチベタンが
犬に襲われている私を発見し、救出してくれました。

助かった~。

ただ、チベット犬は狂犬病菌を持っている場合があります。
あいにく狂犬病の予防注射をしていなかった私は
24時間以内に、発症予防の注射をしなければ、狂犬病の危険性があります。

でも、ここは西チベットのド真ん中。
どう考えたって、病院のあるような街まで、24時間で移動するのは無理です。

恐る恐る、噛まれた傷を確認しました。
5月の西チベットはまだ寒く、気温が零下だったため
尋常でない厚着をしており、歯形はくっきりとついているものの
皮膚は破れていませんでした。

セーーーーーフ!

死が目前かと思われた瞬間の「心残り」を
文明社会に復帰したら、忘れずに果たすと
チベットの土地に誓いました。

今でも時々、あの誓いを思い出し、身の引き締まる思いです。
スポンサーサイト

| チベタン・チルドレンズ・プロジェクト - スタッフブログホーム |

コメント

先日は楽しい時間をありがとうございました。あれほど上品なバター茶は初めて飲みました。おいしかったです。

ブログ、いつも楽しく読ませていただいています。今回はまた衝撃的な……エレガントで美しい石川様が、ドーベルマンも真っ青のチベット犬と格闘した過去をお持ちだなんて! と言いますか、そもそも西チベット高原をヒッチハイクで渡ったというのが驚き(唖然)。水など、どうなさったのでしょう? よく生還なさいましたね。。

実は私はバター茶が苦手なので、先日ご用意したものはかなり「私好み」に仕立てております(笑)。

西チベットでは、どんなところで一夜を明かさねばならないか予想も出来ないので、いつも食料と水は数日間、命をつなげるだけ持って移動していました。

時速80kmで飛ばす最新のランドクルーザーにも、正面から襲い掛かってくるチベット犬…その勇気は見上げたものですが、本当に恐ろしいです。

びっくり。チベット犬に噛まれた人の話をはじめて聞きました。写真でしか見たことないですが、土佐犬に毛を生やしたようなカンジですよね。。。かなりでかかったのでは? 石川さんが冒険家とは知らなかった。ご生還おめでとうございます。(笑)

実際、ヒッチハイクの外国人は、かなりの確率でチベット犬に襲われています(苦笑)。統括責任者の加藤にも確認したところ、彼女もやはり西チベットで犬の襲撃を受けたそうです。動物と死闘を繰り広げることって、あんまりないですよね(いや、普通はない!)。なので今となっては、貴重な経験だったと思います(笑)。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://tcpnp.blog9.fc2.com/tb.php/46-7bcb79e4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザーのみ)